
中国の臨済僧・慈明楚圓(じみょうそえん)禅師の逸話より
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ある晩、とりわけ寒気厳しく、多くの僧は夜の坐禅を休んでいた。
しかし、楚圓(そえん)一人は夜通し坐って、眠気に襲われると、
「古人刻苦光明必ず盛大なり」(昔の人もみな、激しい苦しみに耐えて大いに光り輝くものを得られた)
と唱えて、錐(きり)で自らの股を刺し、目を覚まして坐ったという。
その結果、大いに活躍される大禅僧になられた。
(中略)
「何もかもなげうって死さえもいとわないほど価値のある宝が見つかったときにこそ人はほんとうの意味で生きる」(アントニー・デ・メロ『心の歌』)という言葉もある。
孔子は「朝(あした)に道を開かば夕(ゆうべ)に死すとも可なり」と言われた。
人間一生で何を得るかは、何を懸けるかにかかっている。
「古人刻苦光明必ず盛大なり」と肝に銘じたい。
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人生を照らす禅の言葉
横田 南嶺 著
致知出版社より
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