
「このクリスマスに解放されるという噂が広まったとき、人々は生気をとり戻したが、それが単なる噂であったとわかったとき、人々はバタバタと死んでいった」
ナチスの強制収容所体験を記した『夜と霧』の中の一節である。
具体的な目標がやる気を高める原動力になるし、人生を成功に導くカギとなると前述した。
それだけではない。ときとして、目標や目的意識の有無が人間の生命力まで支配する事実を認識してほしい。
それほど私たちにとって目標は大切なのだ。
そして、集中力を高めるためにも目標設定が必要になる。
ただし、次の点に注意しなければならない。
それは、「あいまいな目標では集中力は高まらない」「数値化された目標が不可欠である」という点だ。
私は以前、アメリカオリンピック委員会のスポーツ科学部門で、客員研究員としてメンタルトレーニングの研究に従事したが、そこでは数値化した目標設定の大切さを徹底的に叩き込まれた。
たとえば綱引きをするとき、コーチが選手に「全力で綱を引っ張れ!」と掛け声をかけても選手は最大限の力を発揮できない。
ところが、「もう十秒間だけ全力で綱を引っ張れ!」というように、メッセージに具体的な時間を入れると驚くべき力を発揮してくれる。
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超一流アスリートが実践している 本番で結果を出す技術
児玉光雄 著
文響社より
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