本能のままに生きていけばよい

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本能 いいため話
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もしあなたが「自分はこんなふうに生まれついたのだ。だから、こんな自分を変えることなんてできはしない。あれこれ言ってみてもしょうがないのだ」と考えているならば、努力など一切することはない。

すべてのことを成り行きにまかせて、本能のままに生きていけばよいのである。

そもそもあなたに変える能力がないならば、何とか自分をコントロールしようと努力したところで、所詮無駄なことではないか。

自分には変えることができないのだと言うのならば、それはとりもなおさず、自分は宿命論者だと言っているのと同じことになる。

そして自分を宿命論者だと言うことは、自分にはあらゆる道徳上の責任がないというのに等しい―――と同時に、他人も一切の道徳上の責任など負っていないということになる。

では、このあなたの信念に従って行動したらどういうことになるだろうか。

あなたが自分を変えることができないならば、私だってできないわけだ。

そうすると、もし私があなたを殴って気絶させ、財布を盗んだとしても、あなたは私を非難できないことになる。

意識を回復したとき、あなたはやさしく私の手を握り、私に向かってこうささやくしかないのである。

「わびる必要はありませんよ。何しろ、われわれは自分の性根を変えることなんてできないんですからねえ」

愚かなことを言うなと、あなたはおっしゃるだろう。

その通り、これは愚かなことである。

そして、これこそが私が指摘したいことの一つなのだ。

つまり、ほんとうはあなたは自分を変えることができないなどとは信じていないのである。

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頭の鍛え方

アーノルド・ベネット 著

渡部昇一 訳・解説

三笠書房より