
おだやかにしずまった水面には、満月もまん丸にうつります。
でも、水面が波立っていたら、月はゆがんで、ほんとうのすがたはうつりません。
わたしたちの心は、さまざまな感情によって、たえず勝手にゆれ動き、ざわめき、ほうっておけば、どこへいってしまうかわからないほどです。
(中略)
ゆれ動く心は、コップの中の泥水のようなものです。
コップを動かさずにおいておくと、やがて泥はしずみ、水がすきとおってきます。
同じように、背すじをのばして姿勢を整え、息を整えることによって、心も整ってきて、しずかに落ち着いてきます。
日々の生活の中で、心がゆれ動くときには、一度立ち止まって、しずかに心を落ち着けるゆとりを持ちたいものです。
引用:「シガーラの長い旅」
本間正樹 作 くすはら順子 絵
佼成出版社
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