
時間というのは、あらゆるものを生みだすもととなる、何とも説明しようのない不可思議なものだ。
時間が存在してはじめてあらゆることが可能となるし、時間がなければ何ものも生まれない。
「時間が与えられている」ということは、実のところ毎日奇跡が起こっているようなものであり、よく考えてみれば、まったく驚くべきことなのである。
朝、目覚める。すると、不思議なことに、あなたの財布にはまっさらな24時間がぎっしりと詰まっている。
そして、それがすべてあなたのものなのだ。
これこそ最も貴重な財産である。
考えてもごらんなさい!
誰もあなたから時間を取り上げることはできないし、盗むこともできない。
そして、あなたより多く時間を与えられている者も、あるいは少なく与えられている者もいないのだ。
(中略)
明日の時間を、今、浪費することもできない。なぜなら、それは「明日のあなたのためにとっておかれている」からだ。
いや、明日の時間ばかりでない。
今からあとの1時間についても同様である。
私はこれを称して「奇跡」と言ったのである。
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「自分の時間」
アーノルド・ベネット 著
渡部昇一 訳・解説
三笠書房より
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