渡辺和子「あいさつの大切さ」

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本 いいため話
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私の出身校である東京の武蔵野の私立の小学校には、当時の日本のトップリーダーの子女も多く通っていました。

その頃珍しい男女共学で、「心の教育」に力を入れ、毎朝、全員が講堂に集まって「心力歌(しんりょくか)」を唱え、大きな鐘の響きとともに始まる凝念(ぎょうねん)に、指を組み心を静めてから教室に入るのです。

入学してすぐ担任にいわれたこと一つは、「校門を通る時、男の子は必ず帽子を取って守衛さんに、先生にするのと同じ態度であいさつしなさい」ということでした。

6年間、これを続けている間に、いつしか習慣になり、これが一つのリーダー学であることに気付いたのは、社会に出てからでした。

「土の中の水道管

高いビルの下の下水

大事なものは表に出ない」(相田みつを)

私が、今も職場で特に目立たない働きをしていてくれる人たちにあいさつをするのは、多分、小学校で身についたことなのです。

学生たちにも、「お掃除や草取りをしていてくださる人たちに、ごあいさつするのですよ」といっています。

「給料を払っているのに、あいさつしたり、ありがとうという必要はないでしょう」という若い教師も、いないではありません。

それは、大きな考え違いです。

あいさつは、身分や立場とは無関係なのです。

特に、あいさつしてもらうことの少ない人たちに、あいさつは、「あなたは、ご大切な人なのですよ」と伝える最良の手段であり、お互いが、お互いのおかげで生きていることを自覚し合う、かけがいのない機会なのです。

《目立たない仕事をしている人へのあいさつを忘れてはいけない。私たちはお互いに「おかげさま」で生きているのだから》

『置かれた場所で咲きなさい』幻冬舎