
神さま「どうしてお前は『役たたず』とののしられて、傷ついたと思う?
お前が、自分のことを『役たたず』と思っているからじゃ。
他人がお前を傷つけたんじゃない、お前がお前を傷つけているんじゃ」
みつろう「お、今回もいい話が聞けそうな予感ですね」
神さま「例えばワシがお前に、『このナリキン野郎!』って言ったら、どう思う?」
みつろう「全然、傷つきませんね。ナリキンじゃないから」
神さま「そうじゃ。今、ワシはお前を傷つけようと思って、お前に文句を言った。
でも、お前は傷つかなかった。
なぜなら、人間は絶対にほかの誰かを傷つけることなんてできないからじゃ。
誰かが悪意でもって他人を傷つけようと行動しても、『傷』をつけることは絶対にできない。
本人以外にはな」
みつろう「この教え・・・なんとなく、わかるかも。
自分がそう思っているから、自分で傷つくのか。
でも、他人を傷つけることはできるでしょ?
殴ったりして」
神さま「できない。絶対に人間は他人を傷つけることはできないんじゃ。
例えば、お前を傷つけようと、誰かが殴ってきても、お前がそれにポジティブな意味を与えれば、そのできごとはポジティブとなる。
事実、ムチで叩かれることに快感を覚える人たちもいるんじゃぞ?」
みつろう「そ、それは変態の話じゃないですか!」
神さま「ワシから見ると、お前のほうがよっぽど変態に見えるぞ。
意味なんてない中立な現象を、常にネガティブにとらえつづけておるのじゃからな。
起こるできごとには、本来的に持ち合わせている意味なんて絶対にないのに。
『それを、どう思うか?』ただ、それだけじゃ。
他人の口を使って、お前が、勝手に傷ついとるだけなんじゃ」
みつろう「たしかに。『役たたず!』と言われた時、ムカついたけど、そのあと「のろま!」と言われた時、なんとも思わなかったですもんね。
自分のことを『のろま』だとは思ってないから。
俺が自分自身を『役たたず』と思っているから、傷つくのか」
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神さまとのおしゃべり
さとう みつろう 著
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