
かつてメンターから「君はどうして貧しいのか」と聞かれたことがある。
わたしは給与明細を見せて言った。
「会社がこれだけしか払ってくれないんです」
すると彼はこう言った。
「いや、それは違う。そんな考え方をしていたら、いつまで経っても君は成長できないよ」
わたしはあわてて答えた。
「いいえ、これは正真正銘、わたしの給与明細です。会社は本当にこれだけしか払ってくれないんです」
わたしの答えを聞いて、彼は言った。
「だから、違うんだよ。ローン君。これは会社が君に払った給与だろ」
はっとしたよ。そんなふうに考えたことはなかったからね。
そのあと、彼はわたしにこう聞いてきた。
「会社はこの金額の二倍、三倍、四倍、五倍の給与を誰かに払っていないかい?」
「払っています」とわたしが答えると、彼は言ったんだ。
「それじゃあ、会社はこれしか払っていないわけじゃない。これは会社が君に払った給与にすぎないんだよ」
収入を三倍、四倍、五倍に増やすには、ただ会社に「もっと給料を上げてください」と頼んでもダメなんだ。
そうではなく、こう自分に言わなければならないんだよ。
「わたしは考え方を修正する必要がある。自分の境遇や税制を責めてもしかたがない。
会社が遠いだの、暑いだの、寒いだのと言ってもしかたがない。まずは自分自身をなんとかしなければならないんだ」と。
すべてはそこから始まるんだ。判断や自分の考え方の誤りを正すことからね。
引用:史上最高のセミナー
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ジェイソン・オーマン 著
河本隆行 監訳
きこ書房
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