
わたしたちは、机上の計算をするだけで金銭を得ることが当然だと思っているような人間にだまされてはいけない。
これだけの金しかないのだからこの程度しかできないと彼らは口にするのだ。
彼らは金こそ可能性と力だと思い込んでいる。
数字の計算が重要だと思っているような彼らより、本当に生産にたずさわっている人たちは知っているはずだ。
狭さよりも広さ、制限よりも解放、圧迫よりも自由、計算上の明日よりも望みを含んだ今、貧弱よりも豊満、臆病よりも大胆、反撥よりも限りない抱擁。
そういったものこそが、人間をもっとも人間らしい自由に導き、そこから新たなものを生むことを。
かがんで身構えていては何もつかめない。
踏み出し、進み、手を伸ばし、欲望をあらわにし、求めなければならない。
贅沢は何かを捨てることではない。
何か新しいことを得ることだ。
贅沢は自分の中にある能力を全面的に解放することなのだ。
決して臆病であってはならない。
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人生がうまくいく哲学的思考術
白取 春彦 著
ディスカヴァー
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