「見えない資産」経営

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経営 いいため話
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近年の先進諸国において、企業の価値を決めるのは物的資産や金融資産だけではなく、人材、顧客、研究開発、チャネル、組織、ブランド、知識、マーケットの信頼、ビジネスモデルといった形のないものの価値が相対的に大きくなっている。

これらの資産は貸借対照表に資産として計上されることもなく、目に見えにくいけれど、れっきとして存在し、物的資産や金融資産と同じかそれ以上に、企業価値を生み出す大きな源泉になっていることを多くの人が実感として持っているはずだ。

このフレームワークの画期的なところは、感覚的にしか捉えられていなかった企業価値の要諦を、「見える資産」と「見えない資産」に分類したことにある。

伝統的な会計の考え方に従った資産である物的資産や金融資産を見える資産と捉え、その対照に位置するものとして、目で見ることはできないが企業価値の創造に大きな役割をはたす新しい概念の資産として、組織資産、人的資産、顧客資産という3つの見えない資産を定義し、これら「5つの資産」を、概念図として具象化したのだ。

■見える資産

【金融資産】金融資産は、現金/預金、売掛金、負債、投資、資本など。

【物的資産】物的資産は、土地、建物、器具、備品、在庫など。

■見えない資産

【組織資産】企業で共有されている組織全体としての力を指す。個々の企業には、各々の企業らしさや強みがあり、そこに磨きをかけることができれば、組織資産は大きくなっていく。逆に企業らしさや強みが失われていくと、組織資産は小さくなっていく。企業が当初持っていた情熱を忘れ、あるいは情熱が変質して傲慢になり、官僚主義や無気力で覆われると組織資産はマイナスになっていく。組織資産のキーワードは人々の情熱をあらわす「ワクワク」であり、「ハートマーク」である。

【人的資産】従業員がどれだけイキイキと働き、プロフェッショナルとして成長しているか、という視点を指す。働いている人が増えていき、各人が嬉々として働き、さまざまな経験を通じて成長していけば人的資産は大きくなっていく。逆に従業員がヤル気をなくし、成長が止まってしまうと人的資産は小さくなっていく。従業員以外の人的資産には、その会社を応援している「サポーター」も含まれる。人的資産のキーワードは「イキイキ」である。

【顧客資産】企業が生み出す製品・サービスを購入する顧客がどれだけいるか、顧客がその会社の製品・サービスを支持し、購入する回数や単価が上がるか、または顧客数が殖えれば、顧客資産は大きくなっていく。また、顧客資産には、製品・サービスを新規に購入してくれる新規顧客、さらには、潜在的な見込み客も含まれる。顧客資産のキーワードは「ニコニコ」である。

『「見えない資産」経営』東方通信社