
苦難の歴史が続いたユダヤ人には、有名な教えがある。
「土地や財産は奪われることがあっても、知恵と人脈は奪えない」
虐待され、身ぐるみ剥がされ、投獄されても、知恵だけは牢獄のなかまで持ち込める。
国を追われ続けたユダヤ人だからこそ、もっとも投資するべきもの、最後まで信用できるものは知恵と人だと看破しているのだ。
財産をすべて奪われても、人には知恵が残っている。
たとえ会社が倒産しても、知恵さえあれば再びビジネスを始められる。
希望さえ失わなければ、その知恵を糧に、かならず復活できる。
プロスポーツ選手をめぐる残念なニュースを見るたび、彼らに必要だったのは何億円もの年俸ではなく、ごく基本的な知恵だったのではないかと考えてしまう。
本は、知恵にアクセスするための素晴らしいツールだ。
たとえ学校に通うお金や機会がなくても、私たちには読み切れないほどの本がある。
野口悠紀雄氏の著書『「超」納税法』(新潮文庫)には、興味深い考察が述べられていた。
「知識には税金がかからない」
これは驚くべき発見だ。
知識は固定資産に近い性格を持っているのに、土地持ちは課税されても、「知識持ち」は課税されない。
そもそもどれだけ保有しているか測りようがないのだから、税務署だって把握できない。
でも、知識の有無によって、お金を稼ぐ力は数倍、数十倍はちがう。
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一流の人は、本のどこに線を引いているのか
土井英司 著
サンマーク出版より
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