
悩まない人間は、人の悩みも理解しない。
この世は、白か黒か。
自分は白で、自分は絶対に正しい。
そういう薄っぺらな発想しか出てこない。
ソクラテスは、「無知の知」といった。
自分が知らないってことを知ることが、本当の知恵だという意味だ。
世界は不思議だ。
よく考えてみれば、何がなんだかわからないことだらけだ。
なぜ雲は空に浮かんでいるのか。
どうして人は人を好きになるのか。
そもそも、人間とはいったいなんなのだ。
なんのために生きているのか?
自分は何もわからないってことがわかると、人間は謙虚になる。
謙虚になってはじめて、人間は何かを学ぶことができる。
どんなに歳をとっても、偉くなっても、自分が何も知らないってことを忘れちゃいけない。
無知の知というのは、そういうことをいっているんだと思う。
引用:新しい道徳
北野武 著
幻冬舎
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