運の教科書「ある学生の運を上げた話」

学生 いいため話
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大学の私のゼミにちょっと弱点のある学生がいました。

何かというとすぐ気分をくずしてしまうので、精神的にもっと安定させたほうがいいと思って、最初はいろいろ注意をしていました。

それでもあまり改善がみられなかったので、途中からほめることに方針を変えてみたのです。

するとまたたく間に明るくなって、みんなの前で積極的に発表もできるようになりました。

それをほめるとさらに自信をつけて、好循環が生まれ、バイト先でもものすごく評判がよくなったのです。

最終的には無事就職も決まって、ハッピーエンドとなりました。

私のゼミは「運」をよくするゼミではありませんが、好循環にはまっていくコツは教えることができます。

たとえば「明るさが大事だよ」とか「ジャンプして笑顔になろう」とか「相手のリクエストに応えていこう」などとひとつひとつ丁寧に教えるのです。

中でも力を入れているのが「ほめること」です。

「ほめて、ほめて、ほめまくれば、ひとまず君らの人生は安泰だ」と教えています。

くだんのちょっと弱点のある学生も、私にほめられ、自分でも人をほめるようになり、「ほめ」の継承が好循環を生んで、「運」が回るようになりました。

私は「ほめる門には福来る」という標語をつくっています。

まさに「ほめは人のためならず」。

人をほめれば自分のためにもなるのだよ、という考え方に間違いはなかったと思っています。

「運」が悪い人は、自分が得しよう、うまい汁を吸おうとさもしく立ち回ります。

ほめるぐらいはやっても損はしないと思いますが、人をほめることさえもしません。

ほめると損をするとでも思っているのかもしれません。

でも、世の中はあまりに自己中心的に求めすぎると嫌われてしまいます。

「損して得を取れ」ではありませんが、時給ゼロでも相手のために一生懸命働いていれば、やがて大きな仕事が入ってきます。

あまり自己中心的にならずに、人のためにも一生懸命やってみる。

そして惜しまず人をほめ、たたえる。

そうすると幸運の風が吹いてきます。

引用:斎藤孝 著
『運の教科書』筑摩書房