
自然科学研究機構や名古屋工大、東大先端研の共同研究によって、運動トレーニングの際に他人からほめられると、上手に運動技能を習得できることがわかったというのです。
研究によれば、パソコンのキーボードのキーを、ある順番にできるだけ速く叩く指運動トレーニングをしてもらった直後に
“評価者からほめられる”グループ、
“他人が評価者からほめられるのを見る”グループ、
“自分の成績だけをグラフで見る”グループ、
の3グループに分ける、という実験を行いました。
その結果、“評価者からほめられる”グループは、他のグループに比べてより上手に指運動をこなせるようになることがわかったのです。
つまり、運動トレーニングの直後にほめられることが、その後の運動技能の習得を促した、ということになります。
研究によると、「ほめられる」ことによる効果は、金銭報酬を得たときと同じくらい脳の線条体(せんじょうたい)を活性化させたといいます。
線条体は運動や学習、意志決定など、広い分野での「やる気」に関わっていると考えられており、その働きにはドーパミンというホルモンが関わっているとされています。
また、さまざまな心理学的研究から、金銭報酬は現代人において最も強いモチベーションを生む報酬であると考えられています。
つまり「ほめる」という行為は、人間にとって最高レベルの「やる気」を引き出すことができるのです。
しかも、今回のこの報告では、ただ「ほめる」だけで、やる気が上がるだけでなく、実際に運動技能まで向上したのです。
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「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方
加藤光一 著
坪田信貴 監修
KADOKAWA
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