
実業家のヘンリー・カイザーは「人とうまくやっていく第一のルールは、すべての人を重要な存在とみなすことだ」と明言している。
デューク大学のJ・B・ライン博士は、それとまったく同じ意味のことをより科学的な言葉で表現している。
20年以上にわたり研究を重ね、「人間が論理の生き物というより感情の生き物だと気づけば、人間関係の技術は飛躍的に向上する」と主張し、さらにこう言っている。
「当然、私たちの人間関係は、相手をどう認識するかにかかっている。
相手をロボットか機械のようにみなすと、人との関わり方が利己的で一方的なものになりやすい。
しかし、相手を独自の価値を持つ存在として大切に扱うと、相手の意見や考え方に敬意を払うようになる。
その結果、相互の関心、理解、友情にあふれたより高い次元の人間関係が可能になる」
人々に対して最も強い影響力を持つ人たちは、人々を重要な存在とみなす人たちである。
また、あなたは身の回りで起きていることのほんの一部しか見えていない。
自分にとって重要なものだけを選んで注目しているからだ。
したがって、相手にもっと働いてもらいたいなら、その人に注目すると効果的である。
それによって相手に重要感を持たせることができる。
ミシガン大学リサーチセンターの心理学者が科学的な研究をおこなった。
どうすれば現場の作業員がより熱心に働き、生産性を上げ、よりよい仕事をするかを調べるためだ。
その結果、作業員に関心を示す監督は、もっと働けと命令するタイプの監督よりも大きな成果を上げていることがわかった。
一時期、バージニア州のハーウッド工場は離職率が高く、労働者を引き止めるのに苦労していた。
そこで工場長はこの問題を解決するために有名な心理学者を呼んだ。
その心理学者は人間の習性を見抜く達人で、一人ひとりの労働者に注目し、彼らの重要性を認めていることを本人たちに伝えるよう工場長に指導した。
まず、人事部長は新規採用の労働者と面接し、生産工程を説明しながら一人ひとりの役割を明確に伝えた。
『人望が集まる人の考え方』ディスカヴァー
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