
「売り言葉に買い言葉」と言いますが、いままで、売られた言葉を買ってもロクなことがなかった。
それでも、つい買ってしまうのが「売り言葉」です。
いわれなきこと、不当なことを言われたとき、その「いわれなきこと」「不当なこと」というのは、反論したくなるようなことと決まっている。
だから、つい買ってしまうのです。
「売り言葉」でも何でもそうなんですけれど、他人が嫌なもの、悪いものをあなたに与えようとしたとき、たいがい、怒ったり、動揺したりしますよね。
そうなると人は、つい、やり返しちゃうんです。
でも、やり返すと“負け”なんです。
いわれなきこと、非難、中傷に目くじらを立てて相手に言い返すのは、相手と同じ土俵に自分がのっかった、ということ。
だから、こちらの“負け”。
相手があなたに悪いものを与えようとしても、あなたがスルーしてしまえばいいのです。
そうすれば、「よし吹く風荒くとも、心の中に波たたず」。
お釈迦さまの境地です。
簡単に言うと、相手がいくら言っても自分がやらなきゃ勝ち、と決まっているんです。
この世の中は、そういうルールなのです。
ですから、たとえば、自分の親にこんなことを言われたとします。
「おまえは、ホントにわがままだな」
自分では、親の期待に応えようとして真面目に、一生懸命、勉強したり、生きているつもりでいるのに、「わがままだ」と言われたとします。
そのときは、反論しないのです。
たとえば、「ホントにそうだね。ウチの一族でいちばんわがままだね」とか、ワンクッション置いて、「父さんのおかげで東京の大学に通えてるんだよね。ありがとう。感謝してます」とか、相手が喜ぶ言葉を相手に贈ってみる。
ちなみに、東京・新小岩にある、「一人さんファンの集まるお店」に通っている“たくちゃん”という男の子が、この方法をやってみたんです。
修業相手であるお父さんに「そうだね、わがままだね」と言ったんですって。
その後、お父さんは彼にうるさいことを言わなくなったそうですよ。
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