
料理人の道場六三郎さんが、エッセイのなかでこんなことを書いている。
「知らないことは恥ずかしいことではない。知ったかぶりをしたら、賢くなるチャンスを逃がすことになる。そんなことも知らないのか、とバカにするやつもいるが、そんなのは、どうせたいしたやつじゃない」
道場さんは同業の後輩にも、自分の店の若い衆にも気軽に、
「ちょっとぼくにも教えてぇな」
と尋ねるそうである。
「人生、皆、師である」ともいっている。
好奇心旺盛な人、知りたがりの人、おもしろそうなことはひととおり知っておかないと気がすまない人。そういう人たちは謙虚である。
知りたい欲求を満たすためには、「知ってるわい」と虚勢を張ってはいられない。
恥ずかしがらずに聞く、のではない。
知りたくてたまらない気持ちが勝って、恥ずかしいという気持ちなど、どこにも湧いてこないのであろう。
だから素直な気持ちで聞ける。
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「なぜか人に好かれる人」の共通点
斎藤 茂太 著
PHP文庫より
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