斎藤茂太「人間関係のルール」

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人間関係 いいため話
画像:http://gahag.net/

■無用なおしゃべりをすること

■自慢話をすること

■よく知らないことを、さもわかっているように人に教えること

■酒に酔って理屈をいうこと

■腹を立てて理屈をいうこと

■なになにをやろう、と空約束をすること

■オレがこうした、これをした、と自己主張すること

…これは良寛さんの『戒語』から、拾ったもので、ここには、いわば「良寛流・人間関係のルール」といったものが、九十条にわたって記されている。

良寛さんといえば、泥棒が家の中に忍び込んできたので、狸寝入(たぬきねい)りをして、布団を持っていかせた。

あるいは、床下から竹の子が生えてきたので、頭を押さえられるのはかわいそうだと、床板をはがし、屋根にも穴をあけてやった…

そんなエピソードの持ち主だ。

寺に属さず、人に説教することもなかったという、お坊さんらしくないお坊さんだ。

出世や、ぜいたくな暮らしや、名誉や地位といったものには完全に背を向けて、遊ぶように生きていきたい…と願い、実践した人でもあった。

しかし、人を不愉快にさせるようなこと、人を怒らせるようなこと、人を悲しませるようなことは決してするべからず、と自分に強く言い聞かせていたのである。

ゆっくりと、ゆうゆうと生きるのはいい。

ただし、人としての品格は失わずにゆきたい。

人から軽蔑(けいべつ)されたり、人から後ろ指を差されるような生き方では、自分の身に「豊かさ」がつかないのである。

良寛さんは、小さな草庵(そうあん)に住み、持っているものといえば、夜寝るときのせんべい布団ぐらいしかなかった。

そのせんべい布団さえ、泥棒にくれてやる。

しかし、良寛さんには、どこか「品格」がある。

良寛さんが、村の人たちに愛された一生だったのは、人への細やかな気配りを忘れなかったからではないか。

自分への戒めを胸に収めて、その上で、遊ぶように生きる…

世俗的な欲望とは無縁でいるところに、人としての「品のよさ」が生まれてくるのだ。

『「ゆっくり力」ですべてがうまくいく』集英社文庫