藤尾秀昭 「小さな修養論2」

banner02
人間関係 いいため話
画像:http://www.gatag.net/

二宮尊徳はまさに焦点を定めて人生を生きた人である。

尊徳は天明7(1787)年に生まれ、70歳で生を終えた。

それは幕末の国家的動乱期で、内憂外患(ないゆうがいかん)の時代であった。

その時期に尊徳は貧困にあえぐ農民救済に焦点を定め、国事を一切論じず、一滴の血も流さず、一発の銃弾も撃たず、

荒廃した全国600余村を復興し、疲弊(ひへい)した藩の財政を再建した。

その根本は4つの教えに尽きる。

「至誠(しせい)を本(もと)とし、勤労を主とし、分度(ぶんど)を体とし、推譲(すいじょう)を用とす」

まごころを根本に置き、懸命に働き、自分の分限に応じて暮らし、今年得たものは来年のために譲る。

子孫に譲り、社会に譲る…この報徳思想の普及と実践が、偉大な成果を生んだのだ。

また、『菜根譚(さいこんたん)』の言葉を紹介する。

「末路晩年(まつろばんねん)、君子宜(くんしよろ)しく精神百倍すべし」

物事の終わり、また人生の晩年、君子たる者は精神を百倍にして立ち向かっていけ、と言う。

また、こうも言う。

「人の小過(しょうか・小さなあやまち)を責めず、人の陰私(いんし・そっとしておきたい隠し事)を発(あば)かず、

人の旧悪(ふるい悪事)を念(おも)わず。三者を以(もっ)て徳を養うべく、また以て害に遠ざかるべし」

この3つを実行すれば徳を養うことができ、つまらぬ恨みを買わないで済む、というのである。

人生、どこに焦点を定めて生きていくか。

先哲の言葉はそれを端的(たんてき)に示してくれる。

引用:小さな修養論2
藤尾秀昭 著
致知出版社