
ひとは何かを求めていまいる場所を離れる。
いまいるところを離れてそこに行けば何かになれるという場所を求めて。
ところが、漫然とそこへ行きさえすれば何かになれるという期待を抱いて地方から出てきても、
外国に渡っても、たとえ世界中を放浪したとしても、
ただそこに行っただけでは何者にもなれない。
何者にもなれないということに、
そこに行ってみて初めて気づくこともある。
地方から都会に出て何かになったひと、
外国に渡って何かになったひとは、
じつは地方にいても何かになったろうし、
外国で暮らさなくても何かになっただろう。
何かになるという可能性は自らのうちにあるものだ。
私たちはどこへ行こうと、自分自身を携えていくことになる。
自らのうちに求めるものを探さなければ、
どこに行っても求めるものは見出せないだろう。
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出典
[幸福コンプレックス]
中嶋 真澄 著
大和書房 より
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