
若い人の特権のように考えられている「愛」も、
実は、年老いた人にこそより重要なものであって、
老いた人こそ、
愛するものを持ち、
愛されて生きることが必要なのだ。
もちろん、その愛は激しく燃え上がる愛ではないだろう。
むしろ、相手をそして自分を心から“たいせつ”に思い、
いとおしむ心である。
数々の冷厳な老いの事実の前に、
ともすれば崩れそうになる自分、
「早く死んだ方が迷惑にならないのではないか」と
存在への自信を失いがちな自分が生き甲斐を持ち、
また他人にも、生き甲斐を持たせて生きること、
これ以上に、大きな自分への優しさ、
他人への愛はないと思うこの頃である。
子ども笑うな 来た道じゃ
老人 笑うな 行く道じゃ
すべての人が心にとめたい句である。
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出典
[愛をこめて生きる]
渡辺 和子 著
PHP研究所 より
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