
今日私が一つ申し上げたいのは、その『幸福論』の第一巻に「よい習慣」という表題があるのであります。
その中にいくつかの戒めのようなものが書いてあります。
その第四番目に書いてある言葉を、今日は申し上げようと思います。
それは「人間は習慣的にすべての人間を愛することを学ばねばならぬ」ということであります。
どんな犠牲を払っても、また結局はそれが自分自身のためになるのであるが、習慣的に———これが大事です———あらゆるすべての人間を愛さねばならない。
果たしてその人間が愛するに値するかどうかということは詮索をせずに。
ということは、人間がよいとか悪いとかいうようなことを正しく批判をすることは難しくてできないのであります。
とかく我々はあの人はよい人だからと、よい人にはよくできますが、悪い人には悪くする、そういうことではいけないのであります。
よいとか悪いとか、そんな吟味は人間には難しくてできないのだから、習慣的にすべての人を愛することをあらゆる犠牲を払って、また自分自身のためにもそれを学ばねばならないという。
そういう一節があるのであります。
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平澤 興 講話選集「生きる力 偉人賢人の教え」
平澤 興 著
致知出版社より
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