愚痴をこぼす人じゃ幸せになれない?

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愚痴る人 いいため話
画像:ameblo.jp

「あいつが入ると気が滅入(めい)るので、やめておこうか」

ゴルフのメンバーを集めるとき、幹事の間で、こんな会話がでることがあります。

雨だといっては文句をいい、前の組の進行が遅いといってはキャディを困らせ、一日中怒ったり、愚痴をこぼしている男がいませんか。

せっかくのゴルフ会が、一人の男によって暗くなるようでは、この男が仲間外れになるのは当然でしょう。

このタイプの男は、意外に多いのです。

食事に行っても、せっかく入った店ですから「うまそうだね」「いけそうですね」と、期待感を込めればいいのに、「なんかうまそうじゃないな」といわれると、それだけで味がまずくなってしまいます。

愚痴をこぼす人に限って、いい生活をしていない、と聞いたことがあります。

ゆったりとしている人ほど、何でも楽しもうという気持ちが強い、というのです。

作家の小田実(おだまこと)は、『何でも見てやろう』という本で世に出たのですが、世界一周によって、富と貧、上と下、裏と表など、世の中の明と暗を知ったのです。

愚痴をいわない人は、この両方を知った人ともいえそうです。

つまり好奇心が強ければ強いほど、自分の知らない世界にのめり込んでいくことになり、体験したよろこびが先立って、そのためにした苦労など吹き飛んでしまうのです。

愚痴る人の多くは、苦労のほうが先立って、よろこびが吹き飛んでしまうのかもしれません。

尾崎放哉(ほうさい)という俳人がいました。

彼は放浪の俳人・種田山頭火と違って、小さな庵に住み、42年の短い人生を終えた人ですが、彼の句碑(くひ)には「いれものがない 両手でうける」という文字が書かれています。

私は「何もなくても、よろこびはあるのだ」と、この句を解釈しています。

仮に、「コップがない。しょうがないな」と文句をいう男がいたら、「両手で飲めばいいじゃないか」とニッコリ笑って、いってやりたいと思うのです。

小田実には、そういう気分が横溢(おういつ)していたと思いますが、愚痴をいわない人ほど、話題が豊富だったり、体験も積んでいるような気がしてなりません。

考えが重層的であり、そこが味方してあげたくなる点だと思うのです。

『人を味方につける男、敵にする男』

櫻井秀勲 著

三笠書房