
話し手が胸に納めている感情というのは、
いってみれば、両手に抱えたたくさんの荷物。
そのうちのいくつかを聞き手に肩代わりしてもられば、
話し手はとりあえず重荷から解放される。
もちろん、誰かに話したからといって、
つらい、苦しい、悲しい、心が痛い、不安だ、さびしい、
などの感情そのものがすっかり消えてなくなるわけではない。
それでも、誰かが重い感情を受け取って共感してくれれば、
ホッと一息ついて、ゆっくりと考えるゆとりができるだろう。
その意味で、よい聞き手とは、
荷物を一時預かりする役割を果たしているといえるかもしれない。
引用:ひとの話を聞ける人聞けない人
武藤 清栄 著
ベストセラーズ
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