
ある病院で、看護婦さんたちの間に、
いつのまにか1つ習慣ができあがっていました。
朝、出勤してくると、
皆、まずアルツハイマーで入院しているひとりのおばあさんのところへ、
「おはよう、おばあちゃん」と
挨拶に行くのです。
夕方も、
「さよなら、おばあちゃん」と挨拶して帰ります。
このおばあさんはいつも、誰に対してもニコニコして、
たった一言だけを繰り返しています。
「あなたはかけがえのない方です」
看護婦さんたちは、おばあさんのその一言を聞くと、
「ああ、私は生きていていいんだと」
と確信するのでした。
引用:恵みあれば
鈴木 秀子 著
中央公論新社
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