チリ落盤事故で地下に閉じ込められた33名が、無事、地上に生還した理由

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トンネル いいため話
画像:http://free-photos.gatag.net/

2010年10月、チリ落盤事故で地下に閉じ込められた33名が、無事、地上に生還した。

最初の18日間は、救出が来るかどうかも分からない状態で、微量の食料を分かち合ったという。

当然、葛藤(かっとう)もあり、殴り合いの喧嘩(けんか)もあったというが、その過酷な環境を考えれば、本当に奇跡のような生還劇だった。

その成功を、NASAの分析者がこう評した。

「生存者たちは、3つのグループに分かれ、交代で睡眠、休養、作業の時程を規則正しくこなした。

作業中のグループは、他のグループを見守ることが仕事で、これが良かった。

人は、他人の心配をしているときが一番強いからだ」

この意見に、私は「なるほど!」と声に出すほど、強く共感してしまった。

前々から、冬山で奇跡のような生還をする登山者の多くが、仲間をかばって、よりいっそう過酷な状況にいたことに気付いていたからだ。

足を怪我して動けなくなった仲間に、自らの防寒ジャケットを与え、その上に覆(おお)いかぶさり、セーターのまま吹雪の中にいた…なのに、二重の防寒着の中にいる仲間の方が凍死して、風を背で受けてかばっていた方が生還する、なんていう話を聞いたのは、一度や二度じゃない。

そうまでして仲間を失った無念さを思うと胸が痛くなるが、おそらく、この生還者は「仲間を命がけでかばった」おかげで、免疫力が何倍にもなって、生き残る奇跡が起きたのだろう。

人はやはり、自分を被害者に見立てて怯(おび)えているときよりも、誰かをかばうために闘っているときの方が、何倍も強いのだと思う。

そう考えれば、かばう人がいる人はしあわせである。

人生のどんな苦労も、大切な誰かのために乗り越える方が、自分のためにがんばるより脳は何倍も楽なのだから。

常に、相手目線で考えること。

それは、運気上昇に欠かせない、大事な生きるコツなのである。

ことわざの「情けは、人のためならず」には、そんな意味合いも含まれているのかもしれない。

引用:黒川伊保子 著
『運がいいと言われる人の脳科学』新潮文庫