
心を病んだ学生たちが私のもとを訪れます。
自分を責め、自分が悪いんだと思い込んでいる。
私は言います。
「ちっとも恥ずかしいことじゃないのよ。
人間というのは弱いものだから、
自分ばかりを責めてはだめ。
私だって心を病んで入院していたことがあるんだから」
と。
自分が経験したからこそ、その言葉に重みが出てくる。
優しい気持ちが伝わる。
そして
「いつかきっと、今の経験がよかったと思える日がきっとくるわよ。
私のようにね」
と言うと、皆救われたような表情になるのです。
人生には、思いもかけない穴があくことがあります。
病気だったり
大きな失敗だったり
あるいは大切な人の死だったり。
理不尽で辛いことがいっぱいある。
でも穴があいてはじめて見えるものもあるのです。
はじめてわかる他人の苦しみもあります。
そしていつか、穴があいたことに感謝する日がきっとくる。
私はそう信じています。
引用:「いまを、生きる」
渡辺和子 著
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