
相手が「ありがとう」と言ってくれたら、自分も「こちらこそ、ありがとう」という気持ちがわいてくる。
そうさせるのが「ミラー細胞」というわけです。
このニュースを聞いて、私は2007年、夏の全国高校野球大会で優勝した佐賀北高校のことを思い出した。
佐賀北高校は勉強に熱心な県立高校で、チームも全国から野球のエリートを集めて作ったわけではありません。
そんな普通の高校が甲子園で優勝したということで、全国から大きな喝采を浴びました。
驚いたことに、その佐賀北高校、試合中に相手チームをほめるのです。
たとえば、相手がカーンとヒットを打ったとします。
すると佐賀北の一塁手が、塁に立った相手走者にいうのです。
「ナイスバッティング」
二塁打を打った相手には、二塁手が「素晴らしいですね」とほめます。
一方、打撃に入って三振を取られると、相手のピッチャーに「ナイスピッチング」と声をかけます。
普通はこんなことは絶対にしないでしょう。
結局、佐賀北は大会で一度も負けていません。
当たり前ですが優勝するということはそういうことです。
一方、負けたチームも負けたのは1回きりです。
甲子園にはそういうドラマがあります。
1回しか負けていなくても、それで終わりなのです
だから負けた方はずいぶん悔しい思いをしたはずです。
しかし、佐賀北と対戦して敗れたチームはみな佐賀北のファンになってしまったのです。
そして勝つたびに佐賀北は多くの応援者をつけ、県立高校としては11年ぶりの、甲子園全国優勝を果たしたのです。
引用:涙の数だけ大きくなれる
木下晴弘著
「ミラー細胞と佐賀北高校」
![]() |