
平成二〇年に亡くなられた、曹洞宗大本山永平寺の貫首であり、曹洞宗の官長でもあった宮崎奕保老師が、あるときテレビに出てこんなお話をされていました。
「手洗いから出るときに、自分のスリッパを揃えるのはあたりまえ。
他の人が使ったスリッパが斜めになっていたら、何とも思わず直しなさい。
他人のスリッパが曲がっているのを、そのままにしておけるのは、あなたの心が曲がっているからです」
要するに、他人のものであっても、乱れているものを見たら、何も考えずに直しなさい、ということです。
見たら直す、ただそれだけです。
実際に掃除をするときには、きれいにしようとか、汚れているからとか、自分のものだとか、他人のものだとかは考えずに、ただひたすら目の前のものの掃除をするのです。
何事においても、そのとき自分がやっていることと、ただ一つになる。
すると、結果的に「心配り」が生まれるのです。
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お坊さんにならう こころが調う 朝・昼・夜の習慣
平井正修 著
ディスカヴァー
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