
私は、人間の成長の法則を、誰にでもわかりやすい言葉を使って「3つの心」という形で示しています。
どんな人も、赤子の時代は、誰かに支えてもらい、助けてもらい、与えてもらって、初めて生きてゆくことができます。
私たちは皆、その段階から人生を始めています。
もらうことによって生きる。このときの心は、「もらう心」と表すことができます。
赤子は「もらう」ことが何よりの喜びです。
その心を持つ私たちは、何かを与えてもらい、支えてもらい、助けてもらうことを当然とするでしょう。
しかし、成長するにしたがって、人は、何かをしてもらうだけではなく、自分で「できる」ことを求めるようになってゆきます。
歩くことができるようになり、文字が書けるようになり、話ができるようになり、算数ができるようになり、仕事ができるようになり・・・といった具合に、「できる」ことを増やしてゆくのです。
「できる」ことを喜びとし、それを増やしてゆこうとする心を「できる心」と呼びます。
「できる心」は、今日、もっとも多くの人々が抱いている心と言えるかもしれません。それは様々な自己実現を求める段階です。
しかし、私たちの魂の成長は、そこで終わるわけではありません。さらに、その先があるのです。
それは、自分のことを超えて、誰かに、出会う人々に、関わる方々に、何かをしてさしあげることを何よりもの喜びとする「あげる心」です。
この「あげる心」こそ、私たちが本来抱いている「魂の力」を引き出すものです。
自己の完成をめざすだけではなく、共に生きる人たちの力になる。周囲の人たちを励まし、支える力になる。同じ時代を生きる人たちを押し出す力になること。
「もらう心」「できる心」「あげる心」
単純な言葉ですが、これは、与えられる自分から、自分の力を育む段階を経て、さらに自分を超えて、広がるつながりに応えてゆく私たちの魂の成長の法則を表しているのです。
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運命の逆転
高橋佳子 著
三宝出版
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