オトナの一休さん

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大人 いいため話
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厳しい修行を続けてはみたものの、悟りを開いたかどうか、それを証明することは難しい。

それなら師となる僧侶が証明書を発行するのがよいのでは、ということから「悟りを開いた」と認めた弟子に発行したものが「印可状」。

一休さんは、この印可状についてあまり快く思っていなかったようである。

生涯を通して、一通の印可状も与えなかったばかりではなく、自分(一休)から印可状を与えられたとする者は罰するように宣言もしているのだ。

「つらつら諸方の修道の様子を見るに、誤っている者は極めて多く、正しい識見を持っている者は非常に少ない。

自分はこれまで一人も印可状を与えた者はいない。

もし仏法がわかった、悟ったと自称する者があれば、寛大な措置をとらずに鞭して役人に告げて獄につなげてほしい」とまで言っている。

印可状があれば悟得の質を吟味しない風潮があったのであれば、それは修道の形骸化ということになる。

修道者が俗に対する優越の感情を隠して、水準の低い印可を方便として運用するのであれば、修道の自壊が始まっていると一休さんは考えた。

一休さんがこだわったのは、僧としての求道。

その原点に戻ることを求めたことで、印可状の有無は意味がないことと考えた。

印可状を乱発することで、修道の質が低下することを嫌い、ひとたび印可状をゲットしてしまえば、その後は何も修行をしないような僧がいたとすれば、そんな風潮を忌み嫌ったがゆえの行いだったのだろう。

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オトナの一休さん

NHKオトナの一休さん制作班 著

KADOKAWA