寝床につくときに…

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寝る いいため話
画像:http://publicdomainq.net

スイスの哲学者カール・ヒルティは、「寝床につくときに、翌朝起きることを楽しみにしている人間は幸福である」と語りました。

明日の朝、起きることが楽しみになるかどうかは、幸福のバロメーターです。

「明日はきっとよくなる」と思えれば、生きる希望が湧いてきますが、「またつらい一日が始まるのか」と考えると、ますます鬱々としてきます。

目覚めの楽しみを実感できないのは、とても不幸なことです。

イギリスの15歳の若者が大腸がんと診断された。

進行性の大腸がんでした。

とても厳しい状態でした。

完治の可能性はなしとも伝えられた。

約3年で7回の外科手術、予後不良といわれる中で、がんばりました。

化学療法や放射線治療も受けた。

この青年の名前はスティーブン・サットン。

完治の可能性はなしといわれても、決して絶望しなかった。

へこたれなかった。

心の中では、なんで俺がこの若さでこんな厳しいがんになるんだと、怒っていたと思います。

そして死ぬまでにやり遂げたい46の目標を立てた。

ネット上に、「スティーブン物語」というサイトを立ち上げました。

彼の目標というのは、ごく普通の若者たちが考えるようなことでした。

どんなときでも、楽しく生きる自由はあるのです。

「曲芸を学びたい」「コメディアンのジミー・カーターに会いたい」「スカイダイビングをしたい」「ダーツの大会を観に行きたい」「映画かミュージックビデオのエキストラとして出演する」など、よくある若者らしい楽しいことばかり。

遊び心が素敵です。

彼も見事に「遊行」していたと思います。

2016年、リオ・オリンピックのバトミントン決勝で、日本の高橋礼華(あやか)・松友美佐紀ペアがファイナルセット、19対16、デンマークのペアに圧倒されていた。

あと2点取られたら負け。

正直、「もうダメかな」と松友選手は思ったそうです。

ここで彼女は、「1球でもいいから、相手に“おっ”と思わせよう」と考えたそうです。

デンマークペアの強さに打ち勝つために、強い球を打とうとしていた松友選手は、遊び心に気がついたのです。

ゲームの最終局面で「遊行」に近い技を見せたのです。

後衛の高橋選手が強い球を打ち、前衛の松友選手がラケットを立てて出して、ネットぎりぎりに落ちるゆるい球を打ちました。

ここから5ポイント連取して奇跡的な大逆転が起こりました。

遊び心はとても大切なのです。

サットン青年は、限りある命を宣告されても、命がけで楽しく生きようとしました。

どんな人でも、楽しく生きる自由があるのです。

1つか2つ、つらいことがあると、ついつい、楽しく生きる自由があることを忘れてしまいます。

遊び心が大切なのです。

アメリカのケンタッキー大学の研究チームは、楽しく生きる人はそうでない人より免疫力が高くなると発表しています。

こういった目標や生きがいを持つことは、人生の中で絶望に陥ったときも、末期がんになったときも、間違いなくいいことなのです。

サットン青年は、楽しいことをしたうえに、誰かの役に立ちたい。

がんで苦しんでいるほかの患者さんのために何かできることはないか、と考え始めた。

この青年は、がんが大腸から、肺、肝臓、骨へ転移をし、19歳で亡くなりました。

彼の言葉はインターネット上で注目を集め、320ポンド(当時のレートで5億5千万円)以上の金額の募金が集まったという。

彼は最後まで自由に生きることをあきらめませんでした。

『遊行を生きる』清流出版