
子どもというのは、私たちが思う以上に、大人のことをよく見ています。
私たちが思う以上に、「この人は自分たちと真剣にかかわってくれるか」「見てくれているか」ということを品定めしているのです。
私は廊下で子どもたちと会っても、日常的に自分から挨拶します。
素っ気ない反応の子もいます。
ポケットに手を突っ込んだままだったり、首を少しうなだれるだけだったり。
でも、気にしません。
声もかけます。
「風邪をひかないようにね」とか「最近どうだい?」「行事のこと、よろしくね」などなど。
とにかく、できる限りかかわりを持つようにしています。
子どもたちだけではありません。
教員たちも同じです。
校長の私が見ていることが伝われば、次第に態度が変わってきます。
(中略)
子どもたちがこちらを見ていてくれることを信じ、こちらも子どもたちを「見守っているよ」というメッセージを絶やさない。
教師と生徒は、互いに、「見て/見られて」の関係かもしれません。
これは、親子でも変わらないと私は思います。
いや、お互いあまり近くにいすぎてふだんは忘れていますが、親子関係こそ、もっとも身近な「見て/見られて」の関係でしょう。
口やかましく叱ったところで、子どもは大人の思うようには動いてくれません。
それよりも、大人は子どもを見守る。
そして、見守っていることをつねに示す。
そうすれば、子どもとの信頼関係は自ずと生まれてくると思います。
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学ぶ心に火をともす 8つの教え
武内 彰 著
マガジンハウス
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