
「喜びを分け与える」
そのときに重要なのは、天地の理に合うことしかやってはいけないということだ。
自分だけが儲けて、人は損をして―――それはつまり、人をけ落としても自分だけが儲かればいいということになる。
そんなことをいくら実行したところで、天地は絶対に喜ばない。
自分が本当にその事業をやりたいのなら、それによって人も喜ばせるということを考える。
自分に嬉しいことがあったなら、同じように人も喜ばせてあげばければいけない。
自分だけ喜んで、人は損をしてもいいという考えは、天地の理に反している。
ならばまず、そういう願望は最初にやめてしまうことだ。
天地の理に合うことを心がけ、自分がこうなりたいと願うのならば、人にも同じようにしてあげればいい。
もしも品物をつくったり売ったりするとしたら、それは人が喜ぶ品物にしなければいけない。
だましてでも買わせればいいという心がけでやれば、絶対にうまくいくはずがない。
バブル経済のときの保険や株は、まさに後者だった。
確かに顧客には「必ず儲かるから」と言ったかもしれない。
営業マンたちは、顧客のためだと信じていたかもしれない。
しかし、それが本当に顧客のことを思って勧めていたのではなく、結局は自分たちの利益だけを考えていたということは、その後のバブル経済崩壊への対処を見ていればはっきりしている。
そういうことをするから、世の中全体がおかしくなってくる。
それを避けるにはまず、自分の心を変えることが先決だ。
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氣の確立
藤平光一 著
東洋経済
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