
あなたが産まれたとき、ご両親もはじめて親になります。
あなたが3歳なら、親御さんも親としてはまだ3歳。
あなたが成人してはじめて、親御さんもあなたの親として成人する、ということです。
自分を産み育ててくれた親も、縁起からするとあなたと同じ年齢です。
親だからといって万能な人はどこにもいません。
悩み、苦しみ、喜びながらあなたのそばで生きてきたとても身近な人なのです。
お釈迦さまは、自分がこの世に生まれる縁となっただけではなく、育てて一人前にしてくれた父母を敬う大切さを説いています。
(中略)
インドでは恩を「クリタジュナ」と言いました。
「なされたことを知る」というのが語源です。
自分がご両親からどんなことをしてもらったか。まずは思い出してみましょう。
仏教での恩は「返す」より、まずは「知る」ものです。
そもそも、人は人に完全な恩返しをすることはできません。
これまでかけてもらった愛情も時間もお金も、そのまま返すことはできない。
それに、ご両親もそれを望んではいないでしょう。
それならば、いまのあなたができる形で、身近な方に振り向けてみてください。
パートナーやお子さんなど、身近な方を大事にしましょう。
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小さな心から抜け出すお坊さんの1日1分説法
彼岸寺 著
永岡書店
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