
ヘミングウェイは、「世界は素晴らしい、闘う価値がある」と述べています。
彼の人生は、マッチョで元気いっぱいに、一本道をまっしぐらにきたようにイメージされがちですが、じつは躁うつ気質があり、悩み、悶え、迷い続けてきました。
でも、堂々と悩み続けていたように思います。
そこから道が見えてくると彼は信じていたのだと思います。
ヘミングウェイは、悩みながら、ビッグになっていきました。
悩んでもいいのです。
迷ってもいいのです。
そんな自分を肯定することが大事です。
700万年前にアフリカを出て、長い旅を続けてきた人類は、哺乳類の中でも弱い存在です。
その弱い人類が、どうやって生き残って、ほ乳類の頂点に君臨するようになったのか…。
それは人間が苦境を乗り越えられるようにつくられているからではないかと、僕は思っています。
苦境に陥ると、誰でも「もうだめだ」と、つい考えてしまいます。
でも、そうではない。
「負けるようにはつくられていない」と思い込めばよいのです。
そうすれば自ずと陽気になれるし、自信も湧いてきます。
もう一つ、「好奇心」も重要なキーワード。
ホモサピエンスが「出アフリカ」を果たした背景にあるもの、それは「好奇心」です。
好奇心は人間を成長させます。
人類の歴史の中で、常に新しいものをつくりだす源泉は好奇心です。
好奇心は若い時代特有のものではありません。
いくつになっても好奇心はもち続けられるし、それがあれば、人間は元気になれる。
「好奇心」「陽気でいること」「人間は負けるようにはつくられていない」
この三つを忘れなければ、どんな絶望に出合っても、人生をおもしろくつくり直すことができるのです。
「すべて優秀なものは陽気だ」というヘミングウェイの言葉を信じて、できるだけ陽気に振る舞うようにしてきました。
どんなに土俵際に追い込まれても、「人間は負けるようにはつくられていないんだ」という彼の言葉も自分を支えてくれました。
いい言葉が人生の支えになりました。
アフリカのケニアとタンザニアの間にそびえ立つ、標高6000メートル近い山の頂上の万年雪を眺めながら、彼はこんな言葉も残しています。
「知っているだろうが、僕が唯一失わなかったものは好奇心だ」
『遊行を生きる』清流出版
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