なにかわたしにでもできることはないか

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できること いいため話
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“なにかわたしにでもできることはないか”

清家直子さんは ある日考えた

彼女は全身関節炎で もう十年以上寝たきり

医者からも見放され 自分も自分を見捨てていた

その清家さんが ある日ふと そう考えたのである

彼女は天啓のように 点字のことを思いつき 新聞社に問うてみた

新聞社からわたしの名を知らされ それから交友が始まった

彼女は左手の親指が少しきくだけ そこで点筆をくくりつけてもらい 一点一点打っていった

それから人差指が少しきき出し 右手の指もいくらかづつ動くようになり くくりつけてなくても字が書けるようになり 一冊一冊と点訳書ができあがり 今では百冊を越える立派な点字本が 光を失った人たちに光を与えている

“なにかわたしにでもできることはないか”

みんながそう考えたら きっと何かが与えられ 必ずひろい世界がひらけてくる

年中光の射さない部屋に 一人寝ていた彼女に 手紙がくるようになり 訪れてくる人ができ 寝返りさえできなかったのに ベッドに起きあがれるようになり

あったかい日はころころころがって 座敷まで出ることができるようになり

ある日わたしが訪れた折などは 日の当たるところでお母さんに 髪を洗ってもらっていた

どんな小さなことでもいい“なにかわたしにでもできることはないか”と

一億の人がみなそう考え 十億の人がみなそう思い奉仕をしたら 地球はもっともっと美しくなるだろう

片隅に光る清家直子さん

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自選 坂村真民詩集

坂村真民 著

致知出版社