
たとえば家に人を迎え入れるとき、部屋を片づけて掃除し、庭を掃き清め、きれいにしますよね?
家のなかが散らかっていて、庭も草もぼうぼうでは、恥ずかしくて客人に門を開くことはできませんから。
荒れ放題でもいいから門を開けておけばいいじゃないかと思うかもしれませんが、それは違います。
そんな家に入りたいと、誰が思うでしょうか。
門は開けていても、やはり人を遠ざけることになるのです。
人の心も同じです。
隠し事ややましいことがあると、心の門を開くわけにはいかなくなります。
そうして心を閉ざしていると、誰も寄りつかずに人とのご縁ができません。
情報も入ってこなければ、いい話が転がり込んでくることもなくなります。
ですから「開門福寿多」という禅語は、単に「門戸を開いて、福を呼び込みましょう」という教えではありません。
その前提として、家でも心でも、入口となかをきちんと整えて、いつでも門を開いておけるようにしておくことが大切である、という意味を含んでいるのです。
リーダーとしては、いつ、誰に心のなかをのぞかれても大丈夫なように、一点の曇りもない心を持たなくてはいけません。
そういう人物であればこそ、周囲から絶対的な信用を得ることができるのです。
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リーダーの禅語
枡野 俊明 著
三笠書房
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