
多くの人生相談を通じて気づくことは、年齢や肉体ばかりは大人でも精神的にはまったく子供のままという、似非(えせ)大人の急増です。
二十歳になったから、肉体が一人前になったから成人とは限らない。
精神的に成熟しなければ、たとえ四十歳になろうと、子供であることに変わりはありません。
(中略)
結婚して間もないという一人の女性が、人生相談にきました。
夫が愛してくれない、あれしてくれない、これもしてくれない、こんなはずじゃなかった等々、してくれないことばかりを並べたてるのです。
私はたずねました。
「あなたは、ご主人を真剣に愛し、ご主人がこうしてほしいと思われるように、毎日を勤めておられますか?」と。
その女性は首を振りながら、「愛してもいなければ、自分からは何もしていない」という答え、私は思わずいいました。
「それじゃ五分五分じゃないの?
ご主人を責める資格は、あなたにはないのよ。
あなたはね、立場を替えて考えてごらん。
もしあなたが男で、あなたのような、愛してもくれない、何もしてくれない人を妻にもらったら、かわいいと思えるだろうか。
ご主人を責める前に、まずあなたがご主人を愛し、ご主人になすべきことを精一杯勤めてごらんになることですね。
ご自分がしてほしいことは、ご主人もしてほしいことなのです。
あなたが愛してほしかったら、ご主人もあなたに愛してもらいたいのです。
自分をためしとして、まず主人に尽くせるだけ尽くしてみてください」
と。
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泥があるから、花は咲く
青山 俊董 著
幻冬舎
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