
「自分を好き」というと、鏡を見ながらうっとりして自分を見つめている姿を思い浮かべる人も少なくないでしょう。
これは、『白雪姫』に出てくる女王様と同じです。
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?」というのは有名なセリフですが、女王様は美しい容貌をもった自分をこよなく愛していたのです。
彼女は自分が一番美しくないと気がすまないので、いつでも鏡に問いかけます。
結局、彼女にとって精神的な安定はなく、常に自分が二番目になることを恐れていました。
彼女は自分のことだけを好きでした。
「自分のことだけを好き」な人と「自分を好き」な人とは違います。
「自分のことだけを好き」な人は、他人にどう見られるかなどおかまいなしで、周囲に関心すら払いません。
自分さえよければ幸せなのですから、これはナルシシストです。
ナルシシストというのは、辞書を引くと「自己陶酔する人」とあります。
これは、ギリシア神話に出てくる、池に映った自分を愛してしまう美少年ナルシスのお話からきている言葉です。
「自分を好きになる」のは、他人とのかかわり合いの中から生まれてくるものです。
白雪姫の女王様のように、鏡に映った自分を好きな人は、かかわっている相手が、あくまでも自分だけです。
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アドラー心理学で「子どものやる気」を引き出す本
星 一郎 著
三笠書房より
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