
あるアメリカ人の女性の話をしておこう。
彼女はパリの高級 レストランで食べたシチューの味が忘れられず、作り方を手紙で送ってほしいとシェフに頼んだ。
シェフは喜んでこれに応えた。
しかし、 数年後同じそのレストランを訪れたとき、婦人は作り方をきちんと教えてくれなかったではないかとシェフを責めた。
「そんなにおいしくならなかったわよ」と、小言を言ったのだ。
そこでシェフはもう一度送ったメモに目を走らせた。
そしてその女性から、自分は一字一句 書かれたとおりにやったのだという話を聞くと、シェフはその顔をじっと見つめて言った。
「マダム、あなたは一番肝心なことをお忘れのようですね。おいしく作ってみせるぞ、という意気込みに欠けていらしたのではないですか」
心掛け次第でどのような違いが表れてくるか、これでわかっていただけただろう。
これはどのような分野でも当てはまることである。
まさしく人生とは、心構えがすべての勝負なのだ。
心の持ち方ひとつで精神力が充実するかどうかが決まるし、精神が充実していれば私たちの行動力も高まる。
だから何よりも重要な要素は心構えである。
それが成功と失敗との分かれ目になるのだ。
「これはできる」という心構えでいれば、どのような分野であろうとも何よりの原動力となるのである。
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人間は自分が考えているような人間になる
アール ナイチンゲール (著)
田中 孝顕 (訳)
きこ書房より
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