
苦しみを抱えた人を気遣うことは、とても大切です。
しかし、どんなに親しい間柄であっても、どんなに心をこめて接しても、人は相手の気持ちを100%理解することはできません。
私自身、他のスタッフと意見が食い違い、悩んだこともあります。
同じ職場で、同じように患者さんのことを思って働いていても、互いの考えを完全に理解することはできないのです。
それでは、他人の苦しみに対し、私たちはどうすればいいのでしょうか。
私は次のように考えています。
「人と人は完全に理解し合えなくても、相手を『理解者だ』と思ったり、相手に『理解者だ』と思ってもらったりすることはできる」
まるで何かの問答のようですが、私はいつも、「もしかしたら、『理解者だ』と思ってもらえるかもしれない」という希望を抱きつつ、患者さんと接しています。
(中略)
たとえ苦しみは解決されなくても、
辛いときに「辛い」という言葉を、苦しい時には「苦しい」という言葉をちゃんと聴いてくれる相手がいるだけで、
つまり「この人は、自分の気持ちをわかってくれている」と思える人がいるだけで、人は少しだけ、楽な気持ちになることができます。
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「今日が人生最後の日だと思って生きなさい」
小澤竹俊 著
アスコムより
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