
人を信じるってなんだろう。
たとえば“信じる”の定義を「この人は、きっとこうしてくれるはず」だとしたら、“裏切られる”というのは「この人が、まさかそんなことをするなんて」です。
つまり「信じていたのに、裏切られた」という状態は、「他人に自分の期待を押し付けていたけど、期待通りにならないから腹を立てている」という状態だともいえ、
もしかすると自己中心的な考え方だといえるかもしれません。
他人の気持ちを知ることはできません。
人はわからないものです。
そのことをちゃんと教えてくれるアニメが『新世紀エヴァンゲリオン』でした。
このアニメの中には碇シンジ君という男の子が出てきます。
彼はお父さんのことが好きです。ところがこのお父さんはこわいです。すぐに怒って、「帰れ!」といってシンジ君を追い返してしまいます。
そうしたらもう、碇シンジ君はいきなりヘコんで、父さんについて愚痴をいいはじめます。
「父さんがいったいなにを考えてるかわからない!」「どうせぼくのことなんかわかっちゃくれないんだ!」と。
すると、そばにいた綾波レイちゃんという女の子が、碇シンジ君に質問します。
「あなたはわかろうとしたの?伝えようとしたの?」
そうしたら碇シンジ君は、「そんなの関係ないよ!」といってしまうんです。
関係なくないですね。
関係おおありです。
人間の心はわからないのです。わからないから、どうしても「わかる努力」と「伝える努力」が必要です。
しかもそれは、お互いにやらなきゃいけない。
人との絆は大事です。でもお互いに我慢をしたり、無理をしたりするのは、絆でもなんでもありません。それはただの束縛です。
本当の絆というのは、「受け入れる」「かかわる」「見捨てない」です。
受け入れて、かかわって、見捨てない。
それが愛というものなんだろうと、ぼくは思ってます。
引用:空想教室
植松努 著
サンクチュアリ出版
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