斎藤 茂太 「気持ちの整理の上手い人下手な人」

考え方 いいため話
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気分が落ち込んでくると、人に会うのが厭(いや)になる。

特に、初対面の人は、相手のペースもわからず、つきあうのにかなりエネルギーを必要とする。

自分のエネルギーが低下しているときには、おっくうに感じるのも当たり前だ。

また、上司の顔を見るのが厭になってきたり、夜のつきあいがわずらわしくなったり。

それまでは、同僚と帰りに一杯やるのが当たり前だったのが、急にめんどうになってくる。

そんな人の話を聞いていると、普段は人並み以上に人づき合いのいい場合が多い。

人づきあいがよく、人にも好かれるのだが、それだけに、こまかく気を配っている。

しかし、不調のときには、それができない。

それで、人に会うのがめんどうになってくる。

また、周囲の人に頼られている場合も多い。

何かあると、みんながその人にアドバイスを求める。

そんな、めんどう見のいい人が、不調におちいったときは、たいへんである。

自分のほうが元気がないのに、相変わらず人は頼ってくる。

しかし、それどころではないので、人に会うのを避けるようになる。

根がマジメな人もそうだ。

「こんなことになったのも、オレがああしたのがいけなかったんじゃないか」

「こんなトラブルが起こるのは、オレに問題があるのだろうか」

などと内省し過ぎる。

反省のなさ過ぎるのも困りものだが、反省し過ぎる人も困る。

反省し過ぎると暗くなって、人とつき合う意欲がわかなくなってしまうのである。

それに、人に会って、説教されるのがこわい。自分でも、

「オレがいけなかったのか」

とも思っているところへもってきて、さらに他人に厳しいことをいわれたのではたまらない。

そこで、怒られそうな人にはとりわけ会いたくなくなり、自閉症的になっていく。

さて、もしあなたにこんな「人間嫌い」の徴候があるなら、思いきって人間嫌いをつき進めていくのもいいいと思う。

無理して、みんなとつきあう必要はない。

大人ぶって、誰とも仲よくしなくてもいい。

上司や後輩とうまくやれなくてもいい。

人間関係なんか、そんなにうまくやれなくて当たり前だ。

しかし、誰かひとりくらい、あなたの話をわかってくれそうな人がいないだろうか。

あなたが好きな人はいないだろうか。

ひとりでも、ふたりでも、本当に好きな人とだけつきあえばよいではないか。

後は適当にしておけばよい。

人間関係を上手にやろうと努力することなど、やめてしまおう。

きっと気持ちが楽になるはずである。

引用:気持ちの整理の上手い人下手な人
斎藤 茂太 著
新講社