
「では皆さん、まずOKサインをつくってみてください」。
彼はそう言いながら人差し指と親指で輪をつくり、その手を高く掲げます。
続いてセスはこう指示を出します。
「今度はそれを自分の顎に当ててみてください」
―――そのセリフと同時に、彼は自分の手をゆっくりと顔のほうへもっていき、右頬に押し当てます。
すると、部屋にいる全員が、彼と全く同じポーズを取ろうとします。
やがて、部屋中が笑いに包まれます。
セスは「顎」と言ったのに、誰もが「頬」に手を押し当てていることに気づいたのです。
思わず吹き出す人もいれば、周りにバレないようにサッと手を顎に押し当てる人もいます。
一方、最後までオチがわからなかった数人は、一体何が起こったのかと部屋の中を必死に見回しています。
この遊びは、シンプルかつ重大な教訓を伝えています。
私たちは視覚的な生き物であり、目から入って来た情報を最優先する傾向があるのです。
言語のメッセージは視覚メッセージに常に後れを取っています。
引用:人の心を一瞬でつかむ方法
ジョン・ネフィンジャー 著
マシュー・コフート 著
熊谷小百合 訳
あさ出版
![]() |