腕組みNG論

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腕組み いいため話
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プロ野球界では、よくコーチが腕を組みながら選手と話している場面を目にするが、これは避けたほうがいい。

ただでさえ選手から立場が上だと思われているうえに、腕を組んでいると、より威圧感を与えることになる。

腕を組むのは「防御の姿勢」というか、ガードを固めているような印象を与える。

相手は「心を開いています」「あなたのことを受け入れます」とは感じないだろう。萎縮させるだけだ。

だから僕はベンチで戦況を見つめているときも、腕は組まないように心がけている。

一度、なにかの撮影の際にカメラマンの方に「腕を組んでください」とお願いされたことがあるが、それも断った。それくらい気を遣っている。

選手の真正面にかまえて話をするのも同じように、相手を威圧する感じになる。だから僕は斜め前くらいに位置を取ることにしている。

正方形の机について話をするのなら、選手の正面の席には座らず、左右どちらかに座る。

とにかく選手と話をし、なにを考えているのか、どう思っているのか、練習方法、疑問、悩みを教えてもらう。なにもわからない状態では、手の打ちようがない。どう言葉をかけていいかもわからない。とにかく気軽に話せるような状況をつくる。

そのためには、選手と同じ高さに降りるというより、ちょっと下の位置に立つくらいの気持ちでいる。

選手がこちらに状況を伝えてくれたり、こういう練習をしたい、などと言ってくれるようになれば、こちらはそれらをいったん受け入れる。

そのうえで、アドバイスを送ると、選手も受け入れやすい。

それがたとえ愚痴だったとしても、まずは耳を傾ける姿勢が大切だ。

すぐに解決できる策がないものだとしても、選手が吐き出してくれた気持ちに共感するだけでも意味がある。

これはカウンセリングの技術にもつながるのだが、決して否定はせずに、いったん受け入れること。返答は「そうなんや」「大変やな」だけでもいい。愚痴を言うのは、こちらに思いを伝えたいからだ。

そういうときは、選手も聞く耳を持つ態勢になっている。だからこちらのアドバイスが届きやすい。

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吉井理人コーチング論

吉井理人 著

徳間書店