
百科事典の出版販売を行っている老舗出版社の経営陣は、人々はきれいな装丁の数千ドルもする全集を求め、リビングに飾ることをステイタスと考えていると思っていた。
彼らは、ほかの会社が百科事典を初めてCD-ROMにして385ドルで販売したときに、何もしなかった。
またマイクロソフト社のオンライン百科事典が、マルチメディア機器込みで100ドルで入手できるようになったときも、売上げが落ちてゆくのを黙って見ていた。
1年もしないうちに、その老舗出版社は倒産し、百科事典ビジネスは売りに出された。
彼らは新しいオーナーのもとで、無料のオンライン情報サービスを広告方式で始めたが、時すでに遅く、ブランドは損なわれてしまった。
はたから見ていたら、こう思うに違いない。
どうして老舗出版社の経営陣は手遅れになる前に気づかなかったのかと。
しかし当事者である彼らは、最後まで自分たちに起こっている変化を受け入れることができなかったのである。
ある哲学者は言う。
「変化しないことには痛みが伴う。
変化にも痛みが伴う。
どちらか自分を成長させるほうを選べ」
痛みをおそれるあまり変化することから逃げ続けるようなことは、もうそろそろ終わりにしよう。
変化を受け入れることができれば、その先には、わくわくするような未知の領域が待っている。
そしてあなたは思うはずだ。
変化は必然だったのだ、と。
『新 自分を磨く方法』ディスカヴァー
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