
60歳を超えると参加したくない集まりがある。
同期会だ。会えば最初から暗い話だ。
「老人性潰瘍ができた」
「夜トイレに3回起きる」「オレは4度だ」
「つくった、つくった」と自慢話が聞こえる。
「何をつくったの?」と問えば、
「お墓」という。
集まって1時間もたつと、必ず余計なことを言う者がいる。
「おーい、みんなよく聞けよ。来年全員揃うとは限らないからな」
人生の黄昏に近づいたことを確認し合っているようなものだ。
出ていて楽しい筈はない。
最近、外資系で活躍した、新将命(あたらしまさみ)さんから
「アメリカ人はとにかく明るい」
と、こんな話を聞いた。
彼らは他人の同情を引くようなことはまず口にしない。
たとえば、熱っぽい顔をしているから「大丈夫か」ときく。
「あ、38.5分ある。咳もひどい」という。
日本人ならここまで言って黙る。
あとは「だから同情してくれ」という表情をする。
アメリカ人は違う。
ひと言かならず添える。
「38.5分あって咳もひどい」と言ったあと、
「それ以外は全部元気だ」と付け加える。
引用:ひと言の贈りもの
金平 敬之助 著
PHP研究所
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