
iPhone完成まであと一歩と、追い込みに入ったある日、ジョブズはふと気づいた。
iPhoneはディスプレイが中心でなくてはならない。
だが現状のままだとケースがディスプレイと競うような状態になっている。
しかし、こんな土壇場で仕様変更すれば、時間もお金も膨大にかかってしまいます。
ほぼすべてをつくり直す必要があるからです。
何か大きな欠陥があるわけではないのですから、普通の会社であれば、これはそのまま続行になったことでしょう。
しかし、ジョブズは、「良くない部分があったとき、それを無視し、あとで直せばいいというのはダメだ。
そんなのはほかの会社がすることだ」と立ち止まりました。
ジョブズはiPhoneの製作メンバーにこう告げます。
「ここ9ヶ月、このデザインで必死にやってきたわけだが、これを変えることにした。
これから全員、夜も週末も働かなきゃいけなくなった。
希望者には、我々を撃ち殺す銃を配布する」
9ヶ月みんなで必死にやってきたことでも、ゼロに戻せる。
どんなに頑張ってきたことでも、リセットできる。
これがスティーブ・ジョブズという男です。
なぜなら、ジョブズにとって、仕事とはお金を稼ぐための手段ではなく、早く終わらせるものでもなく、
あくまで「世界に衝撃を与えること」だからです。
引用:「絶望は神様からの贈りもの」
ひすいこたろう 著
柴田エリー 著
SBクリエイティブ
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