
今はさ、なるたけみんな平等にっていう時代でしょ。
運動会なんかでも100メートル競走やめようって言うんだよ。
あぶないし、一等、二等、ビリって差がついちゃうし、だからみんなで手をつないで一緒にゴールインしよう、とか。
こんなバカな話ないって。
足の遅い奴は遅い奴で、負けることで人生の勉強すんだし、ほかの面であいつに勝つんだってなるんだから。
そういうのみんななくしちゃってさ、ただ負けた奴がかわいそうだって救済することばかりやってたら、
大人になってもっと悲しいことにぶつかったときにどうすんの。
全然耐えられない人間になっちゃうぜ。
そのくせ偏差値はつける。
偏差値なんていちばんの差別じゃない。で、お前は偏差値低いからこの学校しか受けちゃダメだ、なんて言うんだから。
目先のどうでもいいようなもんは平等、平等って言うのに、大きなもの、このまま放っとくと大変なことになっちゃうようなもんには文句言わないんだ。
引用:日本人改造論
ビートたけし 著
角川新書より
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